さて、古典講義も11回を迎え、第二章に入ります。第二章以下は第一章の内容の説明になっています。P10上枠の説明によると「すでに定評のある経書等によって、その信憑性を高めようとする」とある。大学には書経・詩経からの引用説明が多い。
となると、やはり歴史的流れも抑えなければなりません。はじめにざっくりと書経の説明からしていただきました。
書経の目次と殷・周の流れ
書経は五経の一つ。堯舜時代から夏・殷(商)・周までの政論・政教を集めたもの。儒家の理想政治を述べたものとして最も重要な経典とされる。
01 堯典(ぎょうてん)
02 舜典(しゅんてん)
03 大禹謨(たいうぼ)
04 皋陶謨(こうようぼ)
05 益稷(えきしょく)
06 禹貢(うこう)
07 甘誓(かんせい)
08 五子之歌(ごししか)
09 胤征(いんせい)
10 湯誓(とうせい)
11 仲虺之誥(ちゅうきしこう)
12 湯誥(とうこう)
13 伊訓(いくん)
14 太甲上(たいこう)
15 太甲中(たいこう)
16 太甲下(たいこう)
17咸有一徳(かんゆういっとく)
18 盤庚上(ばんこう)
19 盤庚中(ばんこう)
20 盤庚下(ばんこう)
21 説命上(えつめい)
22 説命中(えつめい)
23 説命下(えつめい)
24 高宗肜日(こうそうゆうじつ)
25 西伯戡黎(せいはくかんれい)
26 微子(びし)
27 泰誓上(たいせい)
28 泰誓中(たいせい)
29 泰誓下(たいせい)
30 牧誓(ぼくせい)
31 武成(ぶせい)
32 洪範(こうはん)
33 旅獒(りょごう)
34 金滕(きんとう)
35 大誥(たいこう)
36 微子之命(びししめい)
37 康誥(こうこう)
38 酒誥(しゅこう)
39 梓材(しざい)
40 召誥(しょうこう)
41 洛誥(らくこう)
42 多士(たし)
43 無逸(むいつ)
44 君奭(くんせき)
45 蔡仲之命(さいちゅうしめい)
46 多方(たほう)
47 立政(りっせい)
48 周官(しゅうかん)
49 君陳(くんちん)
50 顧命(こめい)
51 康王之誥(こうおうしこう)
52 畢命(ひつめい)
53 君牙(くんが)
54 冏命(けいめい)
55 呂刑(りょけい)
56 文侯之命(ぶんこうしめい)
57 費誓(ひせい)
58 秦誓(しんせい)
殷王朝・周王朝系譜
西伯昌は呂尚(太公望)を軍師に招き入れた。その御蔭で周公旦とともに力となる仲間が武王にでき、殷を滅ぼすことができた。
殷を滅ぼし天子となった武王は父西伯昌に文王と追号した。また帝辛によって誅殺された比干(帝辛の叔父)の墓を改葬し、幽閉されていた箕子(きし・帝辛の叔父)を解放し、朝鮮に封じた(箕子朝鮮)。
引用:武王 (周) – Wikipedia
洪範とは
引用:洪範(こうはん)とは – コトバンク
『書経』の一編。大法則の意。周の武王が革命に成功したとき,禹 (う) が整理した上帝の啓示を,殷の箕子 (きし) が武王に授けたとされる。実際は戦国時代の作。五行思想をもとに,政治,道徳の九疇 (九大法則) を示している。
これで「 康誥 」に曰くや「洪範」などが何かがわかりますね。
康誥(こうこう) に曰く、克く徳を明らかにす、と。
康誥とは「書経」の篇名(周書37)。
周の成王の摂政周公旦が康叔を衞に封ずる時に与えた訓戒。ここの一句は周公の父の文王の徳をたたえたもの。
康叔・・文王の九男。つまり武王、周公旦の弟。
康誥編では、「(文王様には)その徳をみごとに世界に輝かされた」と言われている。
大甲に曰く、天の明命をおもいただす、と。
大甲(太甲と同じ)とは「書経」の篇名(商書14)。
殷の湯王の孫の太甲を功臣の伊尹が戒めたもので、ここの一句は湯王をたたえた言葉。
太甲編では、「(湯王様には)天から降された輝かしい命令をかしこみ正しく従われた」と言われている。
帝典に曰く、「克く峻徳を明らかにす」と。
帝典とは書経の篇名(虞書1 堯典)。
帝典編では「(帝堯さまには)偉大なその徳を見事に(世界に)輝かされた」と言われている。
配布された資料より書き記します。
ここから「昭和」と引用されました。
さて、上の画面にあるのが参考資料として配布されたものです。なかなか難しいですが、「放勲欽明」「文思安安」が非常に大切な表現です。
業績が自慢することなく、内面からにじみ出て四方を照らす。理想ですね。漢字一つ一つを分析して理解につなげても非常に深い考察ができますね。
帝尭は放勲と号し、その仁慈は天と同じく、知識は神のようで、近くに接すると温仁なこと太陽を仰ぐように、遠くから見ると高大で万人を覆うこと雲のようであった。富んでも 驕らず、貴くして怠らず、黄色い冠をかむり黒い素服を着、赤い車に白い馬をつけてひかせた。まず、みずから大徳を明らかにして九族を親しみ、九族がむつまじくなると、群臣百官がおのおの職を分って公平に事を弁ずるようにし、群臣百官が公平明朗になると、天下の万国(当時中国に部落的な大小の国が多数あった) を合わせやわらげ不和争乱のおきないようにし た。
史記1 本紀 ちくま学芸文庫
今回のところは、「明徳を明らかにする」の例として挙げられています。
第二章以下は三綱領八条目を説明したもの まとめ 大学講義11
今回は「書経」の説明をしていただきました。
このあとは当分、三綱領八条目の肉付けとして経書からの引用が続きます。なかなか理解が難しいですが、人物を通して理解できればと考えています。
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