大阪木鶏クラブ6月例会は、2019年6月14日(金)中之島「中央公会堂」にて開催されました。
今号のテーマは陰隲録(了凡四訓)からの言葉、「命は吾より成す」でした。。
寺尾会長挨拶の後、松岡照子先生の古典講座「大学」に移りました。 今回は書経の歴史的解説をしていただきました。 講義内容は前回Ⅺに追記する形で記録します。
致知読後感では、この一ヶ月間に起こった自分の心の変化や実践報告なども語られ、参加者の疑問点や何らかの解決のヒントになる良い機会になります。
命は吾より作す・致知随想 NPO法人両育わーるど 重光喬之氏
致知随想(p90-)、難病・脳脊髄液減少症の重光氏の体験と心理的変遷が語られていました。見た目からはわからない「難病者」の苦悩とそこからどのように病と接していくことになったのかが、本人の葛藤と周りの人の感謝とともにわかりやすく説明されていました。
一番心を打ったのは、「病気になってよかったとは未だに思えません」という言葉でした。綺麗事では毎日の激痛に耐えることはできませんし、じわじわと社会的に苦しめられていく心情はなかなか他者には理解されないことでしょう。
そのなかで、人間の悩みは目に見えるものだけではない、と想像できるようになったことを病になってからの「変化」としてあげられていました。
そのあとNPO法人をたちあげられ、「理解されず」「制度の間の難病」に対して寄り添う活動を続けておられます。そこでも「思い通りにいかないから」「期待せず」しかし「あきらめないで」と、患者さんに寄り添った活動をされています。
なるほどな、と感じたのは「ほどほど」という視点を持たれていることでした。
「私なりにできることがあるはず」「自分が真にしたいことはなにか」と考えて生きています、と最後にありました。大切な、本当に大切な視点です。
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「笑い」こそ至高の妙薬 PP110-113「命は吾より作す」
村上教授の「笑いの効用」研究から、笑うことが人間の自然治癒力を高めることにつながるとわかりました。
「笑い」も人を小馬鹿にした「笑い」ではなく、知的な言葉遊びや、長屋のご隠居の語りで笑わせる落語などは本当に気分がよいですね。この「気持ちよく」「誰も傷つけない」笑いが非常に大切だな、と感じました。
下を向きながらは笑えないとあり、「笑う」ことが自然と腹式呼吸をすることになる。それが動脈硬化を防ぐことにつながるとは思いもよりませんでした。
喜怒哀楽の四者がこの世に生きる我々の感情ですが、「楽」の一字を大切に笑いを重ねていきたいですね。
初心忘るべからず pp36-39 世阿弥の言葉に学ぶ
世阿弥ですね。風姿花伝では「年来稽古条々」が頗る名文で付け加えることもないほど、物事の上達と方法論について語られています。
「時々の初心」の意味合いを若いときにはあまり理解できませんでしたが、自己の思い上がりを正視するためにも大切な視点であると考えるようになりました。
そして「老後の初心」という視点に気づけるかどうか。
空手の県代表になりマスターズに出場が決まったN氏は、自分の流派ではトップなのでなかなか未熟な点を指摘されない。しかし他流派に稽古に行くと、子どもたちから純粋な指摘を受けることができる、と語られました。
これぞ「初心忘るべからず」に通じる向上の一路ではないかと感じました。
「却来」の思想。「ある境地に達してからまた最初の段階にもどる」という意味の言葉です。
自分の限界を認識することで、新たな視点・境地を見出すことができる。この思想はなかなか難しいな、と意見交換しました。
現在は、前へ前へと進むことが良いことであるという風潮だけれども、この却来という視点を取り入れれば、また新たな境地に進めそうではあります。
社内木鶏全国大会 大友志穂氏
大賞を受賞された感想文から、次の一文。
「あなたのお子さんは、本当に親孝行な子ですね。お母さんに何かを気づかせようとしているのでしょう」(鈴木秀子先生の言葉)。
「致知」2019年7月号p71
この言葉を目にした瞬間、それまで世間の目ばかりを気にして、私の独りよがりな価値観を押し付けてきたことで、息子の心を傷つけてしまっていたことに思い至り、涙が止まりませんでした」
言葉によって自分の価値観が揺さぶられ、他者の気持ちを慮ることに繋がった、その一瞬をわかりやすく語られています。
「世間体」これですね。いわゆる「空気」を読むことの弊害です。
どうしても相手をコントロールすることが、躾であったり、教育であったりと考えがちなんですが、条件付けをして、そこから逸脱するなら認めない、とするのは虐待に通じてしまいます。
かくてトヨタ生産方式を伝承してきた インタビュー 林 南八氏
林氏の半生から、高度経済成長期の日本の発展を支えた製造業の底力を感じました。
その中で、「現在ならパワハラになるが」という文章がありましたが、鍛える側と鍛えられる側に密接な意思疎通・信頼関係があれば、問題は生じないでしょうね。
例えば、深夜2時頃までベルトコンベヤーを修理していたら、
「仮眠室で寝てこい。あとはこっちでやるから心配するな」
と、助けてもらった、とありました。
今はどうでしょう?
単なるいたぶりで終わってしまうのではないでしょうか?
問題になるのは、同じことが起こっても、指導する側が何ら見守ることをしない場合ですね。
もちろん林氏もp28下段で「指導する側が相手の目をちゃんと見て、追い詰め方を調整しなければ」と語っておられました。
林氏のインタビュー記事からは、上司との関係のみならず、周りとのチームワークの良さが伝わってきました。もちろん最初からチームワークができるはずもないので、その関係性を築き上げられたことも勉強になります。
管理することとは?
ここもよく間違いますよね。
トヨタ生産方式の生みの親、大野耐一氏からのアドバイスは、本質を見抜いた言葉でした。
「意識」を植える。
受けての姿勢としては「ナニクソ根性」!という点に、自ら燃えないとどうしようもないよね、と感じました。
チャレンジ精神あふれるトヨタイズム
ユーモアあふれる見事なスピーチ!自分の世界を広げよう、必要なときに劇的な変化を起こそう、自分だけのドーナツを!
アメリカで勉強し自己実現につなげた、となると思いだすのが星新一のお父さん、星一ですね。星製薬を築き上げた人物です。その青春時代を描いた作品が以下のもの。同時代の人物の横のつながりに注目!
命は吾より作す・致知7月号読後感を中心に大阪木鶏例会まとめでした
個人発表ではまだまだありましたが、今回は読後感を中心にまとめてみました。
他の発表としては、私鉄の広告の文面が問題になっていることに対する疑問であったり、猟銃所持を許可された猟友会の人の免許が取り消されたことに対する疑問。
世界的宗教者の集いに参加された会員からの発表や、初めて娘さんに人生のアドバイスを真面目にしたところ、かる~い感じで「オッケー!」と返事があったことに対する報告、などなど。フォーラムでも。
個人発表では致知読後感を中心ではありますが、日頃の生活で気づいたことや、感じたことなど自由に発表して意見交換を図っています。
真面目に取り組みつつ、深刻にならないように、心を見つめることも大切なことだな、と毎回感じています。
志ん生師匠の「ちはやふる」
「ちはやふる 神代も聞かず 竜田川 からくれないに みずくくるとは」
在原業平の歌ですが、この歌を質問されたご隠居がじつは意味を知らなかったことから、「ちはや」に「かみよ」、そして「大関・竜田川」の物語が始まってしまいます(笑)。
「からくれない」の説明で大爆笑したことを思い出します。
誰も傷つかない「笑い」をどうぞ!
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